krt 戸越の住宅
主要用途:住宅
所 在 地:東京都品川区
敷地面積:124.29㎡
延床面積:63.42㎡
規 模:地上1階
構 造:在来木造
設計担当:中山剛 五十嵐彩華
構造設計:ジャスト
設備設計:-
設計期間:2019.06-2019.10
施工期間:2019.11-2020.06
計画地は都内でも名の知れた商店街である「戸越銀座」の近くである。
品川区特有の建て替え推奨地域であり防火規制の厳しい区域に前面道路以外の3方向に古い住宅が立ち並んでいる。
当初は築60年程の木造平屋建ての住宅を耐震改修を施しながらリフォームをする計画だったが、建物調査を進めるにつれて長期的な安全性、快適性を優先しコストを抑えた建て替えとする事に決定した。
新築計画において、始めに問題となったのが基礎にかかるコストであった。敷地の北側隣地が2m程度地盤が低くなっているため従来ならば杭工法などにより擁壁に荷重がかからないようにする必要があったが、工期とコストを鑑みて擁壁安息角から外れた位置に基礎梁を配置しスラブ全体をボイドスラブとする事で北側敷地境界ギリギリまで建物を建てる事を可能とした。
周辺環境としては前面道路が南側となっているが比較的交通量と人通りが多いため採光を取り入れながらプライバシーの確保が求められた。
限られた予算の中で広がりのある内部空間を作るために登り梁に金物を併用した切妻の屋根を採用しその切妻のボリュームの南側を削りとる様にして坪庭テラスを設ける事で住宅内部との干渉帯を作りプライバシーの確保と採光を取り入れる計画とした。
軒先、目隠し壁の斜角は冬至の時にリビングダイニングの奥まで光が入り込む角度となっており目隠し壁の高さは前面道路からの視界がギリギリ遮る事の出来る高さ設定となっている。
内部には2人の為の個室を設ける必要があったが、LDKは出来るだけ広がりのある空間と感じる事ができるように必要最小限な個室も切妻の入れ子の構成とする事でダイナミックな天井面を作り出した。
坪庭テラスと繋がる大きな腰掛けは屋外空間と室内空間を繋げ、家族や友人達の居所となり日々の生活の中で時間や天候、季節の移ろいを感じられる場所にもなると期待している。
都心の住宅密集地にひっそりと、力強く建つ平屋の贅沢感は格別である。