中里の住宅

既存宅の地下室を保存活用して上部に鉄骨造のエントランスホールを設け、コンクリート打放しのシリンダー型の居住部分を増築して組み合わせ、夫婦がゆとりを持って生活を楽しむ変化に富む空間をもつ混構造の住宅。
 
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所在地 東京都北区
主要用途 住宅
   
設計期間 2005年9月〜2006年10月
施工期間 2006年11月〜2007年10月
   
敷地面積 174.70 u 52.84    
延床面積 212.95 u 64.41    
             
規模 地下1階 地上3階
構造 鉄筋コンクリート壁構造 一部鉄骨造
   
掲載誌  
   
特徴 混構造、オール電化蓄熱床暖、不燃木材外壁、コンクリート打放し
   

 敷地は学園キャンパスが広がる丘のふもと、対面通行から一方通行の坂道に切り替わる地点、道路幅員も突然に狭くなり、用途地域も近隣商業から住居系へと変わる特異な交差点に面している。
さらに敷地の3辺が二項道路に面しているため、それぞれ現状の道路境界からのセットバックが求められる。道路斜線と北側斜線による形態の制限を勘案した結果、南側道路からはさらに建物壁面を後退させることで三層の高さを確保できる案を採用した。

 

 逆L字にクランクした敷地の交差点側にあった既存宅の地下室をそのまま利用することから計画は出発した。X線等による既存躯体強度の確認をした上で、比較的軽量な鉄骨造のキューブを既存地下躯体上部に接続し、天井の高いエントランスホール兼ゲストラウンジとした。
一方、奥側のやや変形した正方形の更地にはプライベートな空間を含むコンクリートのヴォリュームを対比的に組み合わせる。外皮となる壁と各階のスラブとで構造が成り立つことから、外壁の角を円弧としたラウンドエッジのコンクリート打放しのシリンダーが、エントランスホールのシャープエッジの不燃木材のキューブと対比的に連続するデザインとする。

 

 その二つのヴォリュームの接続点に階段を設け、緩やかにエントランスゾーンとリビングゾーンを仕切ると同時に、光の筒として住まい全体の明るさと伸びやかさを演出する。

2つの対比的な要素の組み合わせによって進められた外観のデザインに対して、内部はいくつかのクランク状に連続した空間のセットが外観の2つのヴォリュームを貫いて折り重なる構成とし、視線の流れに奥行きが出るような計画とした。


 平面的には、[エントランス〜階段〜EVホール]、[リビング〜ダイニング〜和室]、[ダイニング〜キッチン]など。
断面的には、[エントランス〜階段]、[リビング〜階段]、[ダイニング〜リビング吹抜]といったクランク状の組み合わせが重なり合っている。

 

 さらに、坂道に面した傾斜地に対して、地下1階地上3階の建物の中に実際には7つの床レベルが設定されている、[地下〜エントランス〜リビング〜2階〜エントランス屋上デッキテラス〜3階〜屋上]。
そのために、階段の途中に佇める場所がうまれ、季節や時間とともに変化しながら階段に差し込む光と影をさまざま場面の中で感じることが出来ることとなった。

エネルギー的には、生活スタイルについて検討の結果オール電化住宅とした。さらに、暖房は「電気ヒートポンプ」を採用した「低温蓄熱型床暖房による全館暖房」とし、ヒートショックによる体への負荷を最小限にすることを心がけた。


 室内は間接照明を基本とし、必要に応じて天井照明を設けている。テレビの配線も全て隠蔽し、シンプルですっきりした生活環境を整えている。

やや交通量の多い南側道路に面しては、削り出した短冊形の中国産御影石を基礎コンクリートに差し込むだけのシンプルな塀を設け、内側に黒竹を配し、不燃木材、打放しコンクリートの面に出来る陰影を演出する。さらに、ステンレスバイブレーション仕上の門扉の中に入ると石の水盤が細長く伸び、シンボルツリーであるシマトネリコを映し出している。ガレージ周りには、坂道に沿って電動で開閉するステンレス製の門扉を特注した。

建築主にとって2軒目の家造りに際し、成人した3人の家族にとっていかにゆとりのある空間を実感できるかというテーマに満足できる答えが出せたのではないかと考えている。