ターミナル駅0分、築50年になる補強コンクリートブロック造の共同住宅兼用住宅に生まれ育った施主が都心に住み続けるための住宅。
横浜の歴史と文化を体現する既存建物を、都市からの防御帯に見立てて三分の一を切り離して残し、光と風を取り入れながら安心感のある佇まいとする。昭和モダニズムの端正な既存建物に、新築建物の鋭角な形態が対峙している。
 
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所在地 神奈川県横浜市
主要用途 住宅
   
設計期間 2012年4月〜2013年4月
施工期間 2013年5月〜2014年1月
   
敷地面積 102.56 u 31.02    
延床面積 166.44 u 50.34    
             
規模 地上3階+既存建物(地上2階地下1階)リノベーション
構造 鉄筋コンクリート造
   
特徴 都市居住、コンクリート打放し、既存建物切り離し保存
   

 

ターミナル駅0分、祖父の代からの築50年になる補強コンクリートブロック造2階建の共同住宅兼用住宅に生まれ育った施主が、街のど真ん中に住み続けるための住宅。

周囲の商業防火地域に建つ10階建て以上のビルに囲まれた準防火地域で2項道路に囲まれた敷地はまさにビルの谷間という景観である。
両隣に繁華街の賑わいを支えるコインパーキング、古くからの2階建て住宅、新築3階建て住宅が混在するその区画は必ずしも良好な住環境というわけではない。通りはタクシーの抜け道として出会い頭の事故も少なくなく、地下鉄の通行音も聞こえる立地にあえて住み続けたいという意思から議論を始めた。その利便性を享受しながらかつ安全安心に住まうために、横浜の歴史と文化を体現する既存共同住宅の一部残しながら計画を進めることとした。

昭和モダニズムのシンプルなファサードを持つ既存建物を都市の喧騒からの防御帯に見立てて交差点側の三分の一を切り離して保存。あえて南側に2階建ての既存建物を残すことで北側新築部分の2、3階への採光を確保している。
既存部分は、将来的に地域に貢献できるスペースとして再生することを念頭に、当面は屋上を都会のオアシスとして緑化するなどにとどめ、できるだけ現況を保存し、今まで積み重ねてきた時間に未来の時間が折り重なるように、これからの生活の中で構想を練り上げていくように考えられている。
新築部分は、1階は通り庭状の駐車スペースとオーバーホールした50年前のフクヤマピアノを設置するラウンジと1つの個室で構成し、2階は家族の共有スペースとし、都市の喧騒から距離をとりつつ採光も確保する。3階は主寝室と個室とし、南側は吹き抜け上部からの光が2階まで届き、同時に3階の吹き抜けに面したホールに置かれたピアノの音がリビングへと響き渡る構成としている。
周辺の都市環境に対して防御的でありながら、光と風と空を取り入れつつ、安心感のある佇まいを目指している。モダニズムの端正な既存建物に対して、車の回転軌跡の確保を考慮した鋭角的な形態がささやきかけている。

横浜の住宅図解